空港の保安検査場で最もストレスの大きいポイントといえば、液体の持ち込み制限(3-1-1ルール)。ミニボトルに移し替えたり、透明ジッパーバッグに詰めなおす作業は、旅慣れた人でも手間がかかるものです。
しかし実は、アメリカでは意外にも“フルサイズのまま”機内持ち込みが許可されている液体が複数存在することをご存じでしょうか。
TSA(米運輸保安局)の公式基準に基づいた、保安検査で引っかからない“例外”11品目を紹介しています。
今回は、その11品目をわかりやすく整理しつつ、なぜこれらが例外扱いされるのか、そして米国空港の保安検査が今どこまで進化しているのかを深掘りします。
TSAが許可する“例外液体”11品目 — フルサイズでも持ち込みOK
以下は、3-1-1ルールの制限を受けずに持ち込める液体類です。
【TSA承認済みの液体11品目】
- 生きた魚(Live fish)
- 水が入った透明な容器に収められていることが条件。
- ペットとしての小型魚は問題なし。
- 処方薬(液体・ジェル・エアロゾル)
- 医療上必要な量であれば制限なし。
- 検査官への申告が必要。
- 氷・ジェルパック(医療用の保冷目的)
- 医薬品・母乳・乳児食の保冷に限り許可。
- 生卵(Raw eggs)
- 割れていないことが条件。カートンのまま持ち込み可能。
- 乳児用ミルク(Baby formula)
- 機内で必要な量であればフルサイズ可。
- 乳幼児用飲食物(Baby food)
- 生物標本(非感染性のもの)
- 保存液(formalin 等)に浸された標本も許可。
- 免税店購入品(Duty-free liquids)
- 店舗の耐改ざんシールが必須。
- 湿電池(Spillable batteries)
- 液漏れのないタイプのみ。
- 乳児用液体入り歯固め(Liquid-filled teethers)
- 市販薬(OTC medicines)
- 咳止めシロップ等も必要量であればフルサイズ可。
なぜ“生きた魚”や“生卵”が許可されるのか?
驚きの品目として挙げられる「生きた魚」「生卵」。
実はこの2つは、危険物に分類されず、保安上のリスクが極めて低いため「液体扱いではあるが例外」とされています。
また、TSAの基準は以下の2点を重視しています:
- 爆発性・可燃性の危険がないこと
- X線スクリーニングで内容物の確認が可能であること
生卵は食品として明確に確認でき、生きた魚は透明容器での持ち運びが義務付けられているため、保安検査上のリスクが少ないと判断されています。
液体以外でも“意外な持ち込み可能品”が多数
液体以外でも、TSAが持ち込みを許可している“意外なアイテム”があります。
- 鹿の角(Antlers)
- 人工骨格(Prosthetic skeleton parts)
- 固形チーズ
- ボーリングボール
一見奇妙に思えますが、これらも「安全性に問題がない」という理由で持ち込み可能なカテゴリに含まれています。
例外以外は従来どおり:3-1-1ルールが適用
上記11品目以外の液体については、従来型の “3-1-1ルール” が適用されます。
3-1-1ルールとは?
- 3:100ml(3.4 oz)以下の容器に入れる
- 1:1リットルの透明ジッパーバッグにまとめる
- 1:1人1袋まで
あらゆる液体類(飲料・化粧品・ジェルなど)がこのルールに従います。
最新技術で“3-1-1ルール廃止”の未来が近づいている?
TSAは現在、次世代X線スキャナー(Computed Tomography:CT) の試験運用を進めています。
CTスキャナー導入のメリット
- 液体の持ち込み制限が大幅に緩和される可能性
- ノートPCやタブレットの取り出し不要
- 検査スピードの向上
欧州ではすでに液体制限撤廃に向けた実証実験が進行中で、
アメリカでも 3-1-1ルールが数年以内に撤廃される可能性が取り沙汰されています。
TSAは「数年以内に保安検査は劇的に変わる」とコメントしており、
旅行者のストレス軽減に向けて大きな変革が近づいていると言えます。

まとめ:知っておくと便利!TSAの“例外ルール”
- アメリカでは、特定の11品目に限り液体制限が免除される
- 生きた魚・生卵など、意外なアイテムもフルサイズで問題なし
- CTスキャナー導入で、将来的には持ち込み制限が緩和される可能性大
- 旅行前に最新のTSA基準をチェックすることで、スムーズな旅が実現
A〜Zまで知っておくと、思わぬトラブルを避けられるTSAルール。
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