アメリカ最新ペット事情
NINAVI.COM読者の皆様、こんにちは。プロのブロガーとして、常に最先端のトレンドを追う私たちが今回注目したのは、アメリカのペットフード業界で静かに、しかし確実に常識を覆しつつあるムーブメントです。

それは、「生肉食(Raw Meat-Based Diets: RMBDs)」、通称「ローフード」と呼ばれる給餌方法です。
「愛するペットに生肉を与えるなんて、危険ではないか?」
「ドライフードが最も安全で栄養バランスが取れているのでは?」
そう考える日本の飼い主様は多いでしょう。しかし、アメリカでは今、この生肉食が爆発的な成長を遂げ、犬と猫のオーナー双方の常識を揺るがしています。今回は、最新の数字と専門家の見解を交え、このトレンドの「光と影」に迫ります。
1. 数字が語る「生肉食」の衝撃的な成長
まず、このトレンドの規模を数字で見てみましょう。
アメリカのペットフード市場全体が巨大であることは周知の事実ですが、その中でも生肉フード市場の成長率は群を抜いています。ある市場調査によると、世界のローフード市場は2024年に27億ドル(約4,000億円)の規模に達し、2033年までには61億ドル(約9,000億円)へと倍増以上が予測されています。この成長を牽引しているのが、世界最大のペット市場である北米、特にアメリカです。
さらに驚くべきは、その普及率です。
驚きの事実1:
最新の調査では、アメリカの犬の飼い主の15%〜25%、猫の飼い主の約10%が、愛するペットに何らかの形で生肉ベースの食事を与えていると推定されています。
これは、もはや一部の熱心なオーナーだけの話ではなく、メインストリーム化しつつあることを示しています。彼らはなぜ、従来のドライフードから生肉食へと切り替えているのでしょうか?

2. オーナーが熱狂する「生肉食」のメリット
生肉食の支持者が挙げる最大の理由は、「ペットの健康状態の劇的な改善」です。
•消化器系の改善と腸内環境の多様化:生肉食に切り替えた犬は、従来のドライフードを与えられた犬と比較して、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)がより多様で豊富になるという研究結果があります。これは、免疫力や全体的な健康維持に不可欠な要素です。
•歯の健康維持:生肉や骨を噛む行為が、自然な歯磨きとなり、歯垢や歯石の蓄積を減らす効果が期待されています。
•毛並みと皮膚の改善:多くのオーナーが、毛並みが艶やかになり、アレルギーによる皮膚炎が改善したと報告しています。
彼らにとって、生肉食は単なる食事ではなく、「ペットが本来持つ野生の力を引き出す、最も自然な食事」という哲学に基づいています。

3. 獣医師とFDAが警鐘を鳴らす「見過ごせないリスク」
しかし、このトレンドには、プロとして無視できない「影」の部分、すなわち重大なリスクが存在します。
驚きの事実2:
アメリカ獣医師会(AVMA)と食品医薬品局(FDA)は、一貫して生肉食を推奨していません。その最大の理由は、細菌汚染のリスクです。
FDAの調査では、生肉ベースのペットフードは、他の種類のフードと比較して、サルモネラ菌やリステリア菌などの病原菌に汚染されている可能性が著しく高いことが示されています。
•ペットへのリスク:これらの細菌は、ペット自身に消化器系の疾患を引き起こす可能性があります。
•人間へのリスク(人獣共通感染症):さらに深刻なのは、ペットの食事を扱う人間や、ペットと接触する家族(特に免疫力の低い子供や高齢者)への感染リスクです。ペットが菌を保有し、排泄物や唾液を通じて家庭内に拡散する人獣共通感染症の危険性が高まります。
ある研究では、生肉食を与えられた犬は、そうでない犬に比べて腸内の炎症マーカーが有意に高いという結果も出ており、メリットばかりではないことが示唆されています。
4. 費用対効果:生肉食は本当に高価なのか?
最後に、多くの飼い主が気になる「コスト」についてです。
「生肉食は高価だ」というイメージがありますが、実はプレミアムなドライフードと比較すると、その差は縮まっています。
•生肉食の平均価格: 1ポンド(約450g)あたり2.50ドル〜3.00ドル
•高級ドライフードの平均価格: 1ポンドあたり約2.75ドル
もちろん、給餌量やブランドによって変動しますが、「生肉食は特別に高価」という常識は、もはや過去のものになりつつあると言えるでしょう。オーナーは、このコストを「医療費の削減」や「ペットの幸福への投資」と捉えているのです。
まとめ:常識を疑い、最良の選択を
アメリカの「生肉食」トレンドは、単なるブームではなく、ペットの健康に対するオーナーの意識の高まりを反映したものです。
•市場は成長し、多くのオーナーがその効果を実感している(光)。
•しかし、獣医学界と規制当局は、細菌汚染という重大なリスクを指摘している(影)。
愛犬・愛猫の健康を守るためには、「生肉食」のメリットとリスク、そして費用対効果を冷静に比較検討することが不可欠です。あなたのペットにとっての「最良の食事」は何か、このアメリカのトレンドを参考に、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
この記事は、アメリカの最新市場調査、獣医学論文、および業界レポートに基づき作成されています。
