アメリカへの移住を考えている人に人気の「抽選グリーンカード」。

正式名称は Diversity Immigrant Visa Program(DV Program/多様性移民ビザプログラム) といい、家族や雇用主によるスポンサーがなくても、条件を満たせば米国永住権につながる移民ビザに応募できる数少ない制度のひとつです。

ところが現在、このDV Programをめぐって大きな変化が起きています。

米国務省(U.S. Department of State)は2026年3月、新たな最終規則を発表。

DV-2027から、有効なパスポート情報だけでなく、パスポートの画像を応募時に提出することが原則として義務化されました。

さらに現在、

  • DV-2027の応募開始日はまだ正式発表されていない
  • Diversity Visaの「発給」は一時停止中
  • 新たに$1のDV登録料が導入
  • パスポート情報・画像提出が必要

と、従来の抽選グリーンカードからかなり状況が変わっています。

この記事では、2026年8月時点で米国政府が公表している一次情報をもとに、日本人にどのような影響があるのかを分かりやすくまとめます。


そもそも「抽選グリーンカード」とは?

Diversity Immigrant Visa Programは、米国への移民数が比較的少ない国・地域の出身者に、アメリカへ移住する機会を提供するための制度です。

米国務省によると、年間最大55,000件のDiversity Visaが法律上用意されています。ただし実際の利用可能数は、他の法律による調整を受ける場合があります。

一般的な家族ベースの移民ビザのように米国市民・永住者の家族からスポンサーを受けたり、雇用ベースの移民ビザのように勤務先を通じて申請したりする必要がないのが大きな特徴です。

ただし、「抽選に当選=グリーンカード取得」ではありません。

当選後も、

  • 教育または一定の職歴要件
  • 移民ビザの資格審査
  • DS-260
  • 必要書類
  • 面接
  • その他米国移民法上の条件

などを満たさなければなりません。

主申請者には、原則として高校卒業相当の教育、または一定条件を満たす2年間の職務経験が必要です。


2026年、抽選グリーンカードで何が変わった?

今回最も注目したいのが、米国務省が2026年3月11日にFederal Registerで公表した新しい最終規則です。

正式名称は、

“Visas: Enhancing Vetting and Combatting Fraud in the Diversity Immigrant Visa Program”

で、2026年4月10日に発効しました。

ただし、国務省はこの新ルールをDV-2027 Programから実施すると明記しています。


変更① 有効なパスポート情報が必要に

DV-2027から原則として、応募者は応募時点で有効期限内のパスポートを持ち、その情報をElectronic Diversity Visa Entry Formに入力する必要があります。

従来は、DV抽選へのエントリー時点で必ずしもパスポート提出が必要ではありませんでした。

これからは、「当選してからパスポートを準備する」という方法が基本的に使えなくなります。


変更② パスポートのスキャン画像もアップロード

さらに大きな変更がこちらです。

応募フォームにはパスポート情報だけではなく、原則として

パスポートのbiographic page(顔写真や氏名などが記載された個人情報ページ)とsignature page(署名ページ)のスキャン画像

をアップロードすることになります。

Federal Registerでは、今回の変更について

  • 有効なパスポート情報
  • パスポートのbiographic page
  • signature page

を電子エントリーフォームに提出させる仕組みとしています。

実際の画像形式やアップロード方法などについては、DV-2027の正式なInstructionsとDS-5501の仕様が公開された際に必ず確認してください。


変更③ パスポート情報が間違っていると大きな問題に

今後は、

  • パスポート番号
  • 発行国
  • 有効期限
  • パスポート画像

などが応募時の本人確認により重要になります。

国務省は、今回の制度変更の目的のひとつとして、応募段階で本人確認を行いやすくし、不正な第三者によるエントリーや詐欺を減らすことを挙げています。

実際、国務省によるとDV-2025では約250万件の不正なエントリーが確認されたとしています。中には第三者が本人の許可なく応募し、当選後に確認番号を渡す代わりに金銭を要求するといったケースも問題視されています。

そのため今後は、パスポート情報の入力ミスにもこれまで以上に注意が必要です。


変更④ 一部にはパスポート要件の例外も

すべての応募者が完全に同一条件というわけではありません。

規則には限定的な例外があり、

  • 無国籍者
  • 一定の共産主義国の国民で、その政府からパスポートを取得できない場合
  • 個別のパスポート免除措置が認められるケース

などが規定されています。

通常の日本生まれの応募者については、基本的にこうした例外ではなく、有効なパスポートを準備して応募することを前提に考えるべきでしょう。


実はもう一つ重要な変更。「応募無料」ではなくなる

これまで抽選グリーンカードは「登録無料」と紹介されることが多く、DV-2026も実際に登録料は無料でした。

しかし現在、米国務省の公式Fee Scheduleには、

Diversity Visa Registration Fee:$1

と明記されています。

これは抽選への登録時に主申請者が支払う料金です。

また、抽選後にDiversity Visaを正式に申請する際のApplication Feeは現在1人$330となっています。

つまり今後は、

抽選への登録:$1

当選後にDV申請へ進む場合:$330/人

という形になります。

「抽選グリーンカードは完全無料」という古い情報を見かけた場合には注意してください。


DV-2027の応募はいつ始まる?

ここも非常に重要です。

通常DV Lotteryは秋頃に登録期間が設定されることが多く、DV-2026の場合は、

2024年10月2日〜11月7日

が登録期間でした。

しかしDV-2027については、米国務省が2025年11月、

DV応募プロセスの変更を実施しているため、DV-2027の登録開始日は改めて発表する

と告知しました。

2026年8月13日時点で、国務省のDV-2027公式告知には具体的な登録開始日は掲載されていません。

一方、DV-2027に選ばれた人のビザ申請対象期間については、

2026年10月1日〜2027年9月30日

の予定を維持するとしています。

したがって、

「例年10月だから今年も10月○日から」

と予想だけで申し込み準備を進めるのではなく、米国務省の正式発表を待つことが重要です。


もう一つの問題。「DV Program停止」とは何を意味する?

ここはニュース記事を読むと非常に混乱しやすい部分です。

正確には、

① DV-2027の新規登録開始日の延期

② Diversity Visaの発給停止

は別の問題です。

米国務省は2025年12月23日付のガイダンスで、

Diversity Immigrant Visa applicantsへのビザ発給を一時停止する

と発表しました。

ただし、これはDV制度そのものが法律上廃止された、という意味ではありません。

国務省の説明によると、DV申請者については、

  • ビザ申請を提出する
  • 面接に出席する
  • 面接予約を行う

ことは引き続き可能ですが、

現在のガイダンス下ではDiversity Visa自体を発給しない

という状態です。

国務省は、DVプログラムのscreeningおよびvetting(審査・身元確認)プロセスを見直すための措置と説明しています。


DV-2026当選者は特に注意

DV-2026当選者にとっては、時間の問題が非常に重要です。

米国務省は、DV-2026について、

2026年9月30日までにビザを取得、または米国内で資格変更を完了しなければならない

と案内しています。

DVには翌年度への繰越制度が基本的にありません。

そのため、DV-2026当選者にとって現在の発給停止は非常に重大な問題です。

個別ケースについては移民法弁護士などの専門家に相談することも検討してください。


日本人はDV Lotteryに応募できる?

ここにも、よくある誤解があります。

「日本国籍なら応募できる」

と説明されることがありますが、DV Programでは通常、国籍よりも出生国(country of birth / chargeability)が重要です。

米国務省のDV-2026 Instructionsには、

Country of eligibilityは通常country of birthと同じであり、現在住んでいる国や国籍とは別

というルールが示されています。

そしてDV-2026では、Japanは対象国として掲載されていました。

したがって、例えば日本生まれで現在アメリカや別の国に住んでいる人でも、その他の条件を満たせばDVの対象となる可能性があります。

ただし対象国は毎年計算され、変更される可能性があります。

そのため、DV-2027については正式なProgram Instructionsが公開された時点でJapanが対象になっているかを必ず再確認してください。 国務省自身も対象国リストは年ごとに変わる可能性があると説明しています。


日本人が今から準備しておきたい5つのこと

DV-2027への応募を考えている人は、今のうちに次を確認しておくとよいでしょう。

1. パスポートの有効期限を確認する

DV-2027では有効なパスポートが原則必要になります。

期限切れ、または近く期限が切れる場合は、早めに更新について確認しておきましょう。

2. パスポート情報を正確に入力する

氏名・番号・発行国・有効期限などは、パスポート記載内容と一致させることが重要です。

3. パスポート画像を準備できるようにしておく

biographic pageおよびsignature pageの画像提出が新たなポイントです。最終的な画像仕様はDV-2027 Instructionsを確認してください。

4. $1登録料を認識しておく

今後は登録時に$1のDV Registration Feeが設定されています。

5. 必ず米国政府の公式サイトから申し込む

DV Lotteryには以前から詐欺サイトや高額な代行業者の問題があります。

応募時には、必ず米国務省が案内するElectronic Diversity Visa(E-DV)公式サイトから手続きを行ってください。


「当選しました」というメールにも注意

抽選グリーンカード関連では、当選を装った詐欺にも注意が必要です。

DVの結果確認では、自分のconfirmation numberを使用してEntrant Status Checkで確認することが基本です。

「あなたはグリーンカードに当選しました。手数料を送金してください」

といったメールやSNSメッセージだけを信用しないようにしてください。


まとめ|DV-2027はこれまでの抽選グリーンカードとかなり違う

2026年のDiversity Visa Programは、大きな転換点を迎えています。

特に覚えておきたいのは、

DV-2027から原則として有効なパスポートが必要

パスポートの個人情報・署名ページの画像提出が必要

新たに$1の登録料が設定

DV-2027の登録開始日はまだ正式発表待ち

DVビザの発給停止とDV-2027登録延期は別の措置

という5点です。

特に、日本からアメリカへの移住を検討している人にとって、Diversity Visaは今後も注目度の高い制度です。

ただし移民制度は政策変更の影響を受けやすく、情報も頻繁に更新されます。

「去年こうだったから今年も同じ」と考えず、応募する年度の米国務省公式Instructionsを必ず確認することが重要です。

Ninaviではこれからも、アメリカ生活・移住・旅行・お金・最新制度など、アメリカ在住だからこそ気になる最新情報を分かりやすくお届けします。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の移民法上の法的助言ではありません。具体的なケースについては、必要に応じて資格を持つ移民法専門家へご相談ください。