政府公式アプリ「Mobile Passport Control(MPC)」とは
混雑回避の最新ツールを徹底解説
感謝祭・年末年始・夏休みなど、いわゆる“民族の大移動”シーズンのアメリカ入国では、長い入国審査の行列が避けられません。特にニューヨーク周辺など主要空港では、同じ時間帯に国際便が集中し、
「せっかくの旅行なのに、入国で1時間以上並んでしまった」
という声も多く聞かれます。
その混雑を少しでも緩和しようと、近年注目されているのが、政府公式の入国効率化ツール「Mobile Passport Control(MPC)」と「Global Entry」です。今回はその中でも、より手軽に導入できる MPC を徹底解説します。

◆ MPC と Global Entry の違い
アメリカ入国をスムーズにする代表的なツールは下記の 2 つ。
■ Mobile Passport Control(MPC)
- 米国税関・国境警備局(CBP)公式アプリ
- スマホからパスポート情報と税関申告を事前送信
- 無料
- 面接・事前審査なし
- 紙の税関申告書が不要
- 到着後は MPC専用レーン を利用可能
手軽に導入できることから、
「Global Entry まではいらないけど、少しでも早く入国したい」
という旅行者に人気が高まっています。
■ Global Entry(最速クラスの有料プログラム)
- 面接・身元調査・背景チェックあり
- 申請料:100ドル前後
- 自動化ゲートで 最短入国
- TSA PreCheck も利用可能
- 出張の多いビジネス層に人気
◆ MPC を利用できる対象者
公式情報によると、次のカテゴリーが利用可能です。
- アメリカ市民(U.S. Citizens)
- アメリカ永住者(Green Card holders)
- ビザ免除プログラム(VWP)利用者=ESTA入国者
- 特定のカナダ人訪問者
注意:初回のESTA入国者は使えない場合あり
初回入国時はCBPが生体情報(顔認証など)を初めて記録する必要があり、MPCのセルフィー照合が成立しないケースがあります。
→ 2回目以降の ESTA 入国で利用できる可能性が高い というのが実情です。
◆ MPC を利用できない主なケース
以下のように 詳細審査が必要なビザ保持者は、原則として従来の入国審査が必要になります。
- F-1 / M-1(学生ビザ)
- J-1 / J-2(留学・研究ビザ)
- H-1B / H-4(就労ビザ)
- L-1 / L-2(企業内転勤ビザ)
- O / P / R など特殊技能系
- B1/B2(観光・商用ビザ)
- E-2(投資ビザ)
- その他 EST 以外の非移民ビザ
◆ MPCの使い方(4ステップ)
とてもシンプルで、誰でもすぐに使い始められます。
- 公式アプリをダウンロード
(App Store / Google Play) - パスポート情報を登録
→ 写真読み取り機能で数分で完了 - 到着後に質問へ回答し、税関申告を送信
→ セルフィー撮影+簡単な申告のみ - MPCレーンへ進み、QRコードを提示
これだけで紙の税関申告書は不要になります。
◆ MPC が使える空港
2025年時点で、30以上の主要空港 + 複数のクルーズ港が対応。
ニューヨーク周辺
- JFK(ジョン・F・ケネディ国際空港)
- EWR(ニューアーク・リバティ国際空港)
その他、ロサンゼルス、シカゴ、マイアミ、サンフランシスコなど主要都市のほとんどで利用できます。
※空港によってはMPCレーンが混雑していたり、一時的に停止していることもあるため、到着前に公式アプリ内で最新状況を確認するのがおすすめです。
◆ なぜ MPC は「大衆化」していないのか
MPCは非常に便利にもかかわらず、利用者が多くありません。その理由は以下の通り:
- そもそも 存在を知らない人が多い
- 有料プログラムの Global Entry が有名で、比較されがち
- 空港によってMPCレーンが少なく、認知が広まらない
その結果、
「知っている人だけ並ばずに進める」
という非常にメリットのある状況が続いています。

◆ まとめ:ESTAで入国する日本人にとってMPCは強力な味方
アメリカ入国の混雑は、旅行者にとって最大のストレスの一つです。特に年末年始や夏休みは混雑必至。
MPC(無料)
Global Entry(有料・最速)
という2つの選択肢を知っておくだけで、旅のストレスは大きく減ります。
中でも MPC は、
- 無料
- 事前審査不要
- 政府公式で安全
- ESTA入国の日本人旅行者でも利用可能
と、多くの人が使える“時短ツール”です。
まだ広く知られていない今こそ、活用のチャンス。
次回のアメリカ入国時に、ぜひ試してみてください。
